普通の感覚

まず言いたいのは「偶然会って一緒に駅に向かう」って時点で俺の中ではもう映画が始まってるんだよね。あとは距離が縮まるだけ…のはずなんだけど、現実ってそう甘くない。俺なんか興味ある人と並んで歩くと“気配の調整”で精一杯。距離を詰めたい気持ちと、詰めすぎたらバレるって警戒心がぐるぐるして、最終的に信号待ちで間が持たなくて急に靴ひも結び始める。

でもさ、意外と「適度な距離だけど自然」って答えてる人が多いの、リアルすぎて泣けてくるよね。人って無意識で“心の壁の厚さ”を歩幅に反映してるから、ちょっとした腕の揺れのタイミングに全神経注いでたりする。一瞬だけ触れたか触れてないかのあの微妙なスレ感で「あ、今日イケる気がする…」って勝手に希望持つ。逆に気まずくて2,3メートル離れて歩いちゃうとき、俺は「これは遠距離恋愛のシミュレーションか？」って心でツッコミ入れてる。

あとさ、すでに手をつないで歩いてる人？それってたぶん前世からつながってる人たちだから参考にならない。俺は次会える保証もないから、腕と腕の絶妙な“非接触ゾーン”で今日も生きてる。脈ありかどうかは、手じゃなくて空気の振動で感じとるタイプ。どう？ズレてる？知ってる。